『ノスタルジア』の落書き帳

音楽ゲーム『ノスタルジア』に関して考えていることを、ちまちま書いていきます。一応Twitterもあります→@crt14display

王を悼む。

※この記事は音楽ゲームノスタルジア』シリーズに関する感想や考察が記載されております。各種情報に関してましては、以下のサイトの閲覧をお勧めいたします。

【更新情報・システム内容】:BEMANI wiki 2nd

【プレーガイド・収録楽曲紹介】:ノスしるべ

 

※また、ここでは『ノスタルジアOp.3』のストーリー第9章「孤独な世界」に関するネタバレが普通に含まれておりますので、まだ見ていない部分がある方はご注意ください。今回は結構なものです。

※なお、今までの記事との齟齬や矛盾が現れると思われますが、あくまで「記事が書かれた時点ではそう思っていた」と捉えていただければ幸いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ノスタルジア恒例。

クライマックスを告げる「すべての始まり」!

初代、Op.2と共に、それまでの歩みが何処に繋がるものだったのか、またストーリー全体を包む世界そのものの成り立ちを明かすカタルシスの瞬間が、Op.3にもやってまいりました!

 

第9章「孤独な世界」です。

 

全ての記憶が還る場所、初代のそれと同一の空間と思しき「NOSTALGIA」(郷夢の世界)で、もみの木の下、ピアノの横に佇む、王のような姿の人影。

まほろばの噂を広め、3人を呼び寄せ混乱を引き起こしたであろう張本人が何者で、一体何を目的としていたのかに触れる章となっております。

 

 

 

【記憶の底に沈んだ国】

コメント:託された願い

解禁楽曲:「Ave」

楽曲コメント:あの日から一筋の夢を見続けた

既に色々把握できるようなフレーズが並んでおりますが、ムービーの流れを追っていきたいと思います。

 

前章では、佇む人影を3人が警戒して睨む場面で終わっていましたが、今回最初に出てくるのは、なんと。

ローディング画面やストーリー曲のイラストで何度となく姿を見せていた、フクロウ、つばめ、白鳥でした。

 

人影の横、ピアノの上に、ふわりと降り立ちます。

迷いなく。まるで元々そこに居たかのように。

 

つまり、初めから”そっち側”の存在として、3人が誕生して王となり、ここに辿り着くまでの歩みをずっと見守っていたのでしょう。

いや、今となっては、見張っていたと言い換えても良いかも知れません。

これだけでも色々衝撃が湧き上がってくるのですが、続きがあるので後にした方がよいでしょう。

 

次いで、これまた見慣れた解禁画面の窓が現れ、ある物語が始まりました。

窓の上部には「Cahpter 0」の文字が。

初代におけるNoahの過去、Op.2における白猫の過去と同様、ストーリーが始まるきっかけとなった序章です。

 

大きく壮麗な城。

そこに住む、偉大な風格をまとう、王。

それは、ある王国の物語。

 

誇りをもって国を治めているような佇まい。

王のそばには、いつもピアノがありました。

王には、親友と呼べる猫がいました。

王はいつも旋律を奏で、そこには旋律を共にする親友の姿もありました。

 

場面は変わり、城が焼け崩れていきます。

王がよろめきながらピアノに向かいます。そこに親友の姿はありません。

床に滴り、溜まっていく、血。おそらく王の。

やがて、ピアノにもたれかかった王は、そのまま動かなくなりました。

 

そして、何も、誰も残らなくなった大地。

いえ。

小さくはありますが、そこからは黒い霧が吹き出しています。

 

同じ場所から、3羽の鳥が飛び立ちました。

それぞれが、赤子を連れて。

 

 

前章の考察でこの人影(もはや王ですね)について、憎しみと愛がせめぎ合っている状態ではないかと書きましたが、こうして蓋が開いてみると、憎しみしかないような感じになっておりますですね。

ムービーでは城が焼け崩れる様子しか描かれていませんが、今までの色々を振り返ってみると、おそらく謂れのない裏切りに遭っています。

 

まず、同じ場面で血が滴る描写がありましたが、自然災害による崩壊であれば、わざわざ血を強調したりはしないでしょう。人の手に掛けられたと思われます。

続いて、この場面のタイトル「記憶の底に沈んだ国」。全ての記憶が還る場所であるここ「郷夢の世界」は、初代では仄めかす程度でしたがOp.2では死者の集まる(ゆえに記憶が還る)場所である事が示されていました。この時点でやはり王は殺されたと推測できますし、底に沈んだと書かれているという事は、人の生きる世界では遠く忘れられているであろう事、またそれを人に強く望まれたという事かと思われます。

更に言えば、KACで初めて「悪魔の誕生」が演奏された時の「悪魔は再び眠りについた」というメッセージもまた、この王が忘れ去られるべき存在だったと示すものとなるでしょう。

 

ここまででは、王が実は悪政を敷いていて革命を起こされた可能性が残りますが、それを否定する材料もまた存在しています。

一つには「天使の追放」の存在があります。作曲者によりエピソードゼロとツイートされ、曲自体の紹介文は「嘗てそれは、光であった」。この王はストレートに光と譬えられるような政治を行い、天使とまで呼ばれ賛美された名君だったのでしょう。

もう一つ、こちらの方が重要でしょうが、それこそ私たちがずっと見守ってきた3人の存在です。第1章の「未開の大地」で生まれた3人がこの王に由来していることは、今や疑う余地もないでしょう。そして、その3人がぞれぞれの国で王になるにあたっては、「受け継がれる自尊」「受け継がれる慈愛」「受け継がれる正義」とのコメントが記されています(第2章)。当時は誰から受け継いだのかと疑問でしたが、今では一人の王が持っていた心だったと言えます。己の価値観を揺るがされぬ自尊、全ての人をあまねく労わる慈愛、その為の力を正しく用いる正義によって、この王は一つの大きな国を平和の内に治めていたに違いありません。

 

しかし今は滅び、世界には3つの王国があります。この国の一部でも自分のものとしたい人々が結託し、分割する契約のもと王に反旗を翻したのでしょうか。そしてそこには王の落ち度など何も無かったのでしょう。強いて言えば、その人格ゆえに部下を信じすぎていたのかも知れません。

 

いずれにしても、王は謂れもなく裏切られ、理不尽に殺され、そして初めから何も無かったかのように徹底して痕跡を消されてしまったのでしょう。

その悲しみ、憤り、何より喪失感は常軌を逸していても無理のない事です。

 

それは、郷夢の世界の奥底から干渉できるほどに強力で、またそこから王は未だ何も諦めていない事実も伺えます。

だからこそ、Op.3のストーリーが始まったのです。

 

では、王はその執念をもって何を成そうとしているのでしょうか?「託された願い」とは何でしょうか?

ずいぶん長く話してしまいましたが、ムービーには続きがあります。

 

鳥たちを迎え入れた王は、警戒する3人に向かって両腕を広げ、歓迎の姿勢を見せました。少し傾いて見える気がしますが、警戒を解くためにおどけているのでしょうか。

それでも王に由来する故にその心を感じ取っているのか、3人は警戒を解きません。

このまま膠着するのかと思いきや、突如3人が頭を抱えて苦しみ始めます。

 

そして、それぞれから浮かび上がる、様々な場面。

そう、ストーリーを通して積み重ねてきた、彼らの記憶です。

それらは持ち主を離れ、王の方へと漂っていくのでした。

まるで引き寄せられるように。

3人が必死に追いかけようとする所で、ムービーは終わります。

 

浮かび上がった記憶の数が多くて全てを確認はできなかったのですが、印象に残っているのは、第3章「閑やかなる日々」の場面が含まれていたことでした。第4章の夢の中で3人が仲良くなるきっかけとなった、それぞれの旋律を見つけた時の記憶です。

ノスタルジアのストーリーにおいて、記憶は旋律という形で表されます。それらは常に、主人公たちを支え、突き動かし、本当に求めていたものへと辿り着かせる原動力となっていました。

もし、王の目的が3人の旋律を取り込むことだとしたら、それによって在りし日の自分を取り戻したいのかも知れません。しかし、郷夢の奥底に沈められている状況では、自分の欠片を、しかし人の世では何も知らない赤子の状態で送り出し、成り行きを見守るのが精一杯だったのでしょう。

果たして期待通りに、3人はそれぞれの自尊・慈愛・正義を支える旋律を見出して戻ってきてくれました(自尊の方は少々行き過ぎていた気もしますが)。

しかし今は、それぞれが人として育っています。単なる王の一部分ではなく、確かな自我と人生を背負っています。その記憶を奪い取ってしまうのは、在りし日の姿を取り戻せたとしても、天使とまで呼ばれたであろう王として相応しいものではないでしょう。

 

ストーリーは、まだまだこれからす。

多くの人に言われていますが、本当に3月1日(サントラ発売)までに完結するのか?

 

 

とは言え、落としどころの希望が現時点でも無いことはないと思います。

今回語られた序章にて、最終的に姿を消した王の親友。

そう、猫です。

3人のそれぞれにも、黄猫・青猫・赤猫がいて、喜怒哀楽を共にしてくれたり、大事なことを思い出させてくれたりしていました。

そして序章を見る限り、猫たちが3つの王国に派遣される様子は描かれていません。

と、いうことは。

猫は王とは別の動きをしていて、しかし同じく自身の欠片を送り出し、王を支えようとしていたのかも知れません。

この先、王の過ちを止めるために出てくるんじゃないでしょうか!

むしろ、出てきてほしい!初代でもOp.2でも、共に歩み希望を指し示したのは猫でしたが、Op.3でもそうしてほしい!

それでこそノスタルジアじゃあないですか!

 

続きはいつだ!

やはり来週か?だとして追いつけるのか?

分かりません!

ここまでご覧いただき、ありがとうございました!

 

 

ちなみに。

この説でいくと、3人が各国に入る前から猫たちが居ることについて(第1章)、単に先回りしたとも考えられますが、先述したKACでの「再び眠りについた」という一文から、王の試みは既に複数回行われていて、その長い試行錯誤を猫たちはずっと見守っていたのかも…と考えると、それはそれで面白いなぁ、と。それだけです。

 

ちなみにちなみに。

解禁曲の「Ave」ですが、言葉の意味を調べられていたツイートを複数見かけまして。

ポルトガル語で「鳥」

ラテン語で「歓迎を意味する挨拶」

なんだそうです。ああ、どっちでも受け取れるなぁ。すごいチョイス!

 

ちなみにちなみにちなみに。

第3章で青の王の場面だけ、王宮ではなく「古びた教会」と表示されていて、これが誤りではないかと多くの指摘があったと思いますが、まあ私もそう思っていたのですが、過去のムービーをYoutubeの生放送アーカイブで見直してみた所(有難い時代!)、青の国のピアノの場所って教会の中なんですよね(第1章で青猫が教会の中、ピアノの上で座っている場面が映っていたと思います)。

で、第3章はピアノと猫を通してそれぞれが受け継いだ自尊・慈愛・正義が表現されるので、やっぱり「古びた教会」で正解なんだと今は思います。第2章から青の子は孤独に耐えかねて教会に逃げ込んでいたんですね。

うん。分かりにくいよ…。

 

以上です。