『ノスタルジア』の落書き帳

音楽ゲーム『ノスタルジア』に関して考えていることを、ちまちま書いていきます。一応Twitterもあります→@crt14display

そして王国は還る。(Op.3ストーリー完結)

※この記事は音楽ゲームノスタルジア』シリーズに関する感想や考察が記載されております。各種情報に関してましては、以下のサイトの閲覧をお勧めいたします。

【更新情報・システム内容】:BEMANI wiki 2nd

【プレーガイド・収録楽曲紹介】:ノスしるべ

 

※また、ここでは『ノスタルジアOp.3』ストーリーの最終盤に関するネタバレが普通に含まれておりますので、まだ見ていない部分がある方はご注意ください。

※なお、今までの記事との齟齬や矛盾が現れると思われますが、あくまで「記事が書かれた時点ではそう思っていた」と捉えていただければ幸いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…えー、ノスタルジアOp.3のストーリー。

完結いたしました。

 

前回まで追いかけてきた通り、大事な展開が目白押しだったのは間違いないんですが、急に色々始まったぞと思ったら最後までスポーンと突き抜けてしまったような感じで、ちょっと肩透かし感が残ってます。個人的にですが、4章か5章から毎月更新とかでゆっくりめにやってくれてたら感動もひとしおだったかもしれません。

あとのストーリー自体の感想や考察については、例によってムービーなどを追いながら記していきたいと思います。

 

まずは第11章「一筋の光」。

3人の王としての記憶を取り込んで、いよいよ覚醒した亡国の王。

溢れんばかりの強い光を放ちながら、かつて滅ぼされた王国ごと蘇らせん勢いに、3人は手を取り合って立ち向かいますが…。

 

 

【小さな星のしるべ】

コメント:その旋律に呼応する

解禁楽曲:終曲・改「三儀の凱奏」

楽曲コメント:絆は光となり強く輝く

楽曲名で既にネタバレのようになっていますが、確かに前章で終曲と宣言されていたものを覆すムービーの内容となっていました。

ちなみに作曲者は前章と同じくAkhuta氏で、王の願いが極まるクライマックスと、3人の心が極まるクライマックスを音楽として両方手掛けたことになります。今となってはKONAMIへの置き土産となりましたが、大役、お疲れ様でした。

 

さて、3人は手を結んだまでは良かったものの、その直後に鎧袖一触されたらしく傷を負って膝をついてしまいます。

まあ記憶の力を奪われて、そもそも手ぶらでは抵抗する手段もあったものではないですが、どうにもできない感じが終曲らしくて、王自身も「後は終わらせるだけ」と自信満々なのかもしれません。

 

ともかく、どうすんだコレと思わせる状況の中で。

ただもみの木の頂で光っていた星屑が、その輝きを増していきます。

広がる光の環。よく見ると、黄・赤・青の色それぞれを抱いていました。

そして呼応するように、あの琥珀の夢で分かち合った包み紙も光をまとい。

 

黄色に輝く槍に。

赤色に輝く剣に。

青色に輝く弓矢に。

それぞれ姿を変えたのでした。

 

新たな力を得て、再び立ち上がる3人。

その瞳には、揺るぎない決意が満ちていました。

 

ムービーはそこで終わります。

今では王の使いと判明した鳥たちのように、4章以降何者か分からず動きも無かった星屑が急に大活躍して驚きました。

包み紙も、琥珀の夢が夢で終わらない事を示す証拠品であり、3人の心を結びつけるきっかけとなったものですが、そのために星屑が何か干渉していたのかも知れません。

さて、この星屑。3人に力を与えたということは、王を止める側の存在である事になります。

それが誰なのか、この時点で薄々予想はつくのでしょうが、先に次の最終章を見てみましょう。

 

と、いうか。

凄い個人的な趣味で言うんですが。

 

……青の子に武力を持たせて欲しゅうなかった…。

元々慈愛を受け継いでいる設定で、7章では対話で戦争を止めようと必死になっていたのに、最後は矢を放てと言うのですか…。遠距離武器な所がらしいと言えばらしいのですが、それなら杖とか本とか意思で訴える系でも良かったんじゃないですか…。

 

閑話休題

最終章「白い旋律」に移りましょう。

もちろん3人の勝利に終わりますが、果たしてその結末とは。

 

 

【NOSTALGIA】

コメント:届いた光

解禁楽曲:Audite Nostalgia

楽曲コメント:その旋律は紡がれ受け継がれていく

最終楽曲らしく、タイトルに「Nostalgia」を冠しております。しかしVでは始まらない。さすがに対応する言葉が無かったのか、そこまでこだわる必要が無かったのか。

「Audite」とはラテン語では「聞く」の意味になります。8章以降、今作との強い繋がりが示唆されている初代の方は「Vide」になっており、これは「見る」の意味となっています。「nostos algos」に引き続き、関連性を訴え続けていますね。

これについての考察は後程。

 

さてムービーでは、星屑の輝きの下、文字通りに溶けて崩れ行く王の姿から始まります。経過は描かれていませんが、激戦の末3人が勝利を掴んだのでしょう。

王は元々人影のような姿でしたが、記憶が還る世界という事を踏まえると精神体、つまり意思そのものだったのでしょうか。

油断なく見続ける3人の前で、王はその体を引きずりながらどこかへ進んでいきます。ノイズのように色々な何かが体に映っては消えますが、憶測ながら、かの王国の姿なのかも知れません。自尊・慈愛・正義をもって全身全霊で治めたその国は、王にとって自分自身に等しかったのでしょう。

 

そして、辿り着いたのは、ピアノ。

かつては自身の旋律を奏でていたピアノ。

やがて忘れられても、その奥底で共にあったピアノでした。

敗北を悟り、またしても滅ぼされゆく絶望の中、せめて最期に求めたものは、いつも自分を自分たらしめてくれていた旋律だったのです。

その心を理解したのか、3人は複雑な表情で王を見つめています。

そこに警戒心は最早ありません。

 

しかし、王の願いもむなしく、あと一息の所でその手は崩れ落ち……

る、その寸前。

 

重ねられる、手。

反転するように場を包む、白い光。

枯れた顔を上げると、そこには代わりに旋律を奏でる3人の姿が。

BGMは解禁曲のものだったので何を奏でていたのかは分かりませんが、おそらく3章で得た旋律ではなく、王が求めていたそれなのだと思います。私の考察が基にはなりますが、3人はそれぞれ王の欠片を受け継いでいます。つまり王の心です。激しい復讐を企ててまで求めていたものは、結局の所自身を受け止めてくれる存在、大きく言い換えれば愛であることを3人はここで理解したし、そのための旋律が自然と心に浮かび上がってきたのでしょう。

 

3人を見つめる王から零れる、涙。

自身もまた求めていたものを自覚し、真に心が満たされた瞬間です。

王は純粋な、美しい光に姿が変わり、天へと昇って行きました。やはり王は、元々は愛された名君であったことが伺えます。ちなみにこの光、KACで4章が告知された時の動画に一瞬だけ出てきたものと同じではないでしょうか。

 

その光についていく、小さな光。あの星屑です。

やがて合わさって一つの光となり、シーンは白くフェードアウトして終了します。

 

人としての王の姿と。

 

一匹の黒猫の姿を天に映して。

 

そう、もみの木の頂でずっと光っていた星屑は、おそらくこの黒猫の意思だったのでしょう。以前は各国の猫に分かれたと推測していましたが、どうやら違ったようです。猫の登場はまだかまだかと喚いておりましたが、ずいぶんと前から皆を見てくれていたんですね(3色猫を通して?)。

そして復讐に燃える王を親友として止めようとしていたのでしょう。しかしそれには王に匹敵する力、すなわち3人の王が一つに結ばれる必要があり、王と同様小さな存在でしかいられない中、琥珀の夢という3人が一堂に会するチャンスが訪れた(黒猫にとっても「其の時は来た」のかも知れません)。そこに精一杯の手を差し伸べて、包み紙が夢の後にも残るよう働きかけたのではないでしょうか。

やがて最後に3人は手を取り合い、同じ意志が共鳴したのか、黒猫も力を発揮した…という感じかと。

この辺の友情劇が、またノスタルジアらしさですね!

 

 

 

 

場面は変わって、とある草むら。

BGMは解禁曲のものですが、その後半部分、なんと初代の「I」を模した旋律が流れています。

話を戻して、草むらでは黄猫が遊び、赤猫と合流し、やがて青猫も加わり、3匹でまったりとした時間を過ごしていました。

 

そして、みんなで遠く見つめる向こう側には。

黄・赤・青の3つの王国が一つに合わさったような城の姿がありました。

それは世界の中心に建ち。

そこには変わらず、もみの木と、袂のピアノ。

 

今日も旋律を奏でる誰か。

キャンディの差し入れが届いたりして。

決して独りではありません。

 

最後に。

3つ並んだ王座と、それぞれに座る、黄・赤・青の王。

猫も一緒だよ!

世界は今や一つの国として、共同で治められているのでしょう。

3つの王国に別れていた世界ですが、今回の出来事を通して本当は1つの国としてまとまっていなければならないと3人は悟ったのだと思われます。

しかし一人の王を立ててしまうと同じ事が繰り返されるかも知れない。しかも王から外された場合に自分の心がどう動くのか、特にまほろばの噂を通した経験から3人はそれぞれ懸念を持っていて、共同統治の道を選んだのではないでしょうか。

 

王国は本来の姿に還りました。いえ、むしろ一歩進んだとも言えます。

今度こそ、世界は平和の内にその歴史を歩んでいくことでしょう。

もみの木の袂で今も旋律を奏でるのは、かつてそれが実現されていたことを忘れない決意のようでもあります。

 

 

 

そんな物語が記された本が、閉じられました。

めでたしめでたしと告げるように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、それを読んでいた、少女と黒猫でした。

【fin.】

 

 

 

 

 

 

 

うおおーーーーーーーい!!!

 

あ、ここまで来て伏せる意味もないので言いますが、少女と黒猫っていうのは初代ストーリーのShiroとCroitのことです。その辺の繋がりは初代ストーリーを見終わっていないとピンとこないかも知れません。

 

なので、隙間稼ぎも兼ねて、まずはOp.3のストーリー自体の感想などを書き連ねていきたいと思います。

まず、公式ではずっと「物語」と言われていて、なんでわざわざ別の言い方をするんだろうと、こっちではストーリーと言い張り続けていましたが。

 

ホントに物語を読んでたって話なんじゃねえか!

画面の背景が幕と舞台で出来ていたり、プレー終了のたびに「次の演目でお会いしましょう」と言われたりしていたのも、ホントに物語を演じていたからなんですね…。私たちはずっと、劇中劇を見ていたのでしょうか。でもそれが分かるのは最後なので、実際今までのようにストーリーを追っていたと思っていいでしょう。

 

そのストーリーですが、種明かしが成されれば、王道と言えば王道な筋道だったのではと思います。

世界に存在する国々が、隠された歴史を追えば実は一つであったこと。

今の王たちは、一つの王国を治めていた者の関係者であったこと。

王の無念が暴走するように、互いに対立し合うこと。

しかし一つにまとまる事が最善であると悟り、新たな歩みが始まる結末。

 

これをノスタルジアらしく演出していたのが、Op.3ストーリーなのでしょう。

特に鳥の存在は印象的で、ムービーに出ないどころか3人を導くでもないのに、何でこんなに自己主張してくるんだとずっと謎でしたから、最後にどんと正体が明かされた時の衝撃は凄かったです。4章で悪魔の存在が明かされた時に「この悪魔の使いかな」とか予想した人っているんでしょうか。

この「そっち側やったんかーい!」みたいな驚きは実は過去作にも共通していて、初代のCroitの帽子だとか(無い方が良かったんかーい!)、Op.2で最果ての研究所が登場した時(夢やったんかーい!)がそうでした。

 

一方で、劇中劇という設定が肩透かしというか残念さに繋がりました。

3人が過ごしてきた世界が一体どのようなものなのか?終盤で現れた郷夢の世界とどのような繋がりにあるのか?それによって過去作とどのように関連しているのか?色々と考えさせられたものですが、本の中だけの別世界と判明した時は、ちょっとがっくり来ました。郷夢の世界自体は実際に存在しているものを物語を通してShiroに知らせたのかなと思えますが、王国そして3人の王については、物語以前も物語以後も無いわけで、そりゃまあ過去作も同様なんですが、どこかリアリティを取り上げられた感じがしています。特にOp.2の皆さんは、あれからどうしてるのかなとか想像が膨らんで楽しかったものですが…。

 

それに、システムBGMが初代に切り替わったことも、世界同士の繋がりへの期待を増した要因でした。ともすればShiroやNoahが出てくるのではないかとウキウキしたのは私だけではないはず!…はず…。

ともかく最後の一コマが無ければ関連性が全く不明なままで終わっていたのも危なっかしいし、それも初代ストーリーを知っていてこその話なので、Op.3の要素にしか触れてない人に対しては、他の人から教えてあげないと分からないんじゃないでしょうか。

 

楽曲繋がりで言えば、今回は全体を貫く主題となる旋律が見当たらないんですよね。初代は「I」や「nostos」、Op.2は「minne」と、要所で登場してストーリーとの深い繋がりを感じさせる旋律がはっきり示されていたんですが、今回はそれが感じられませんでした。「phantasmagoria」や「viator in vitro」のようなシステムBGMを世界観に絡めてくる楽曲も無かったし、執着する必要は無いんだろうけどどうしても期待していただけにちょっと残念でした。

 

で、初代との繋がりについてですが、その舞台となる郷夢の世界の存在をShiroが知るきっかけとなった物語がOp.3である、ということになります。ある意味で初代のエピソードゼロと言えるでしょう。エンディングとして「I」の旋律が流れていますが、ShiroとCroitが幼少期を共にしていた時期(つまり「I」が解禁されるChapter1)に触れた物語である事を示しているのではないでしょうか。

ちなみに既にCroitが一緒にいるので、Noahはほったらかしの真っ最中です。共有はされてるんですが、怖いですね。

このNoahが、Shiroが姿を消した(おそらく亡くなった?)後で実際に郷夢の世界に行き、やがて来たCroitを独り占めしようとします。大雑把ですが、記憶の力で自身をShiroと誤認させて誘導しており、王の姿勢に通じるものがあります。物語を思い出して、自分も同じようにできると思ったのでしょうか。

そしてShiroとの再会と対立、しかしCroitからの説得によって心が満たされ、安らぎの内に郷夢の世界に溶け合っていきます。この辺りの流れはまさにOp.3のエンディングと共通しているのですが、Shiroがそのように望んだと言うよりも、ShiroとCroitが真実に気づいてNoahにどう接しようかと悩んだ時に、この物語を思い出したのだと思います。結果が同じようになったのは、別に狙ってはいなかったでしょう。

 

とまあ色々考察できる事はありますが、初代との繋がりを語ることがOp.3のメッセージではないでしょう。BGMまで変えてきましたが、知ってる人は喜ぶし、知らない人にも衝撃的だし、初代の知識を前提にはしていない内容だと思います。

では、Op.3ストーリーのメッセージは何だったのかを最後に考えてみたいと思いますが。

 

やはり「絆の力」でしょうか。

ノスタルジアでは共通して記憶とそれを表す旋律が主題となっていますが、

・初代では「一番大切なものは記憶の奥底にこそある」

・Op.2では「記憶から来る力は時に死をも乗り越える強さがある」

だと私は思っています。となるとOp.3は、

・「記憶は深く共有してこそ力になる」

といった所でしょうか。王は裏切りによって突如追いやられた孤独により、悲しみの記憶を共有する相手を見失ってしまいました。そのまま復讐に取りつかれ、すぐそこにいたはずの親友の意思にも気付けなかったようです。

逆に3人は孤独に追いやられる事があっても、猫だけはそばにいました。あらゆる記憶を共有できたでしょう。そして3人同士もやがて記憶を共有する仲になります。それは王を慰める愛にすら変わりました。

どんなに素晴らしい記憶も、独り占めではどこか淋しいもの。まして悲しい記憶を一人で背負っていては遠からず振り回されます。トラウマというのも、そういう事なのでしょうか。

物語を読み終えたShiroとCroitも、「私たちは出会えて良かった」と、「これから何でも分かち合おう」と約束したのかも知れません。それからChapter2に移ったのかなと想像してみると、またなんか、キュンとしますね。

陰からNoahが見つめていますが。

 

 

さて、全体的なことも話していると随分な長さになってしまいました。

最後までお付き合い下さり、ありがとうございました!

また何か考察を思いついたら記事にするかも知れませんが、ひとまずここまで。

 

ではまた、いつか!