※この記事は音楽ゲーム『ノスタルジア』シリーズに関する感想や考察が記載されております。各種情報に関してましては、以下のサイトの閲覧をお勧めいたします。
【プレーガイド・収録楽曲紹介】:ノスしるべ
※また、ここでは『ノスタルジアOp.3』のストーリー第4章「まほろばの噂」に関するネタバレが普通に含まれておりますので、まだ見ていない部分がある方はご注意ください。
※なお、今までの記事との齟齬や矛盾が現れると思われますが、あくまで「記事が書かれた時点ではそう思っていた」と捉えていただければ幸いです。
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2月12日に行われたKAC決勝大会で告知された通り、3月3日10時、ついにストーリー第4章が公開されました!
いやあ待ちました。そして時間を取って、早速見てきました。
章のタイトルは「まほろばの噂」。
まほろば、という言葉はよく聞くものだったのですが、不思議と今まで意味を調べたことはありませんでした。なんかよさげななんかなんだなぁ、とかその程度。
ということで、今回初めて意味を知りました。
まほろばとは、
・「素晴らしい場所」「住みやすい場所」という意味の日本の古語。
・楽園。理想郷。
(Wikipediaより)
音の響きからしてファンタジーな印象があって、エルドラドとかニライカナイとか、そういうものの一種かなと想像します。
さて、Op.3の世界には、そのような場所があるとの噂だそうです。
それはどのように現れてくるのでしょうか?
まず、エピソード選択画面からして、マップ中央が破れているという不穏っぷりです。何度も他の章と見比べましたが、他の変化は無いようです。
が、第4章では、ある不思議な出来事から描かれます。
【もみの木の袂】
コメント:星屑たゆたう不思議な夜
解禁楽曲:琥珀の夢
楽曲コメント:交わした運命が夢であっても
袂(たもと)とは、ふもとや際(きわ)といった位置に用いられる言葉のようです。よく言われる「袂を分かつ」は、そこを境界線にして進路が分かれる、ということなのですね。
まず、ムービーが始まると先程の破れが強調されますが、そこで暗転。場面はモノクロで描かれた一本のもみの木へ移ります。先端には小さくも明白に輝く光。コメントを借りれば星屑でしょうか。
私達が集めている星屑と関係はあるのでしょうか。
そして、袂には黄・赤・青の3人が横たわっており、その横に一台のピアノが置かれていました。3人に関しては色彩を保っています。
やがて目を覚ました3人のもとに、それぞれの猫も現れます。
猫達が先にピアノに気付き、3人を呼び寄せると、赤の少年が鍵盤を鳴らしてみます。他の子も不安げに見守っています。
普通に演奏できることが分かった途端、赤の少年は弾き慣れた旋律(第3章の楽曲です)を得意げに奏で始めます。
すると、黄の少女が割り込んで(というか押しのけて)、自分の旋律を奏でて対抗します。
驚くばかりの青の少年でしたが、自分も弾きたいと主張したのか二人に呼ばれたのか、彼も自分の旋律を披露。驚かれたり褒められたりしています。
一通り終えると、3人はもみの木の袂に寝転がり、歓談に興じているのか笑顔を交わしていたのでした。
この、猫に導かれてピアノに触れる、という流れにノスタルジアらしさというか特別なものを感じます。3人はおそらくこの時が初対面であり、彼らだけでは互いに打ち解ける機会を見出せなかったかも知れません。
打ち解けるには、それぞれの心を表現する必要がありますが、ノスタルジアにおいては旋律をもって表現されていきます。
つまり、一台のピアノが初めて出会った3人を結びつけたと言って良いでしょう。それぞれが培ってきた「正義」「自尊」「慈愛」を表し、お互いを惹きつけ合ったのです。
一方、猫については過去作から見ている通り、登場人物たちを結果的に良い方向へ導く存在として位置づけられています。登場人物たちにとっては最高の理解者です。今回3人をピアノへ導いたことも、ノスタルジアとして必然的な流れだったのではないでしょうか。
最後に、誰かの手からキャンディが渡されます。
キャンディは2つで、その後描かれる3人の中で包み紙を持っているのは赤の少年と青の少年なので、黄の少女からもらったということでしょうか。
喜び合う3人の姿を映して、ムービーは終わります。
ムービー単体では、いつ・どこの場面なのかが全く分かりませんが、エピソードコメントの「不思議な夜」、楽曲コメントの「交わした運命が夢であっても」という言葉から、3人が共通して見ていた夢なのだろうと思われます。
しかし、夢というものは一人で見るものです。同じ夢を偶然見ることはあるかも知れませんが、夢の中でそれを共有することはできないでしょう。
そうすると、夢を見せるような形で、何者かが3人の精神をもみの木の袂に呼び寄せたということになります。
おそらくそれはずっと頂点で輝いていた星屑だろうと思いますが、星屑が示すものが何かは、やはり分かりません。
そして、3人を結び合わせることで何を伝えようとしたのか、それも今はまだ分かりません。
一方、もみの木については、次のエピソードで現れます。
いよいよ明かされる、まほろばの噂。
【???】
コメント:黒霧があたりを包んでいる
解禁楽曲:交響詩「悪魔の誕生」
楽曲コメント:其の時は来た
2年越しのご誕生、おめでとうございます。
「其の時は来た」とのコメント通り、ここからストーリーは大きく動き始めるようです。
ムービーでは、マップ中央の破れから黒い霧が溢れ出す描写から始まります。第1章では「未開の大地」、第3章では「深い静寂に包まれている」と記述された世界の中心で、ついに何かが動き出したのです。
その霧の奥には、暗い光に照らされた、一台のピアノ。先ほどの夢の中のものなのでしょうか。
次いで、場面は赤の少年へ。ベッドで目が覚めたと同時に気が付いたのは、その手に握っていたキャンディの包み紙。あの仲睦まじい交わりの夜が、夢のようで夢ではなかったと知らせています。
しかし、夢ゆえに記憶がおぼろげなのか、包み紙を不思議そうに見つめる彼のもとへ、大臣らしき人がやってきます(背の高い帽子をかぶってますし)。
差し出された世界地図は、中央が手書きで強調されていました。私たちが普段見ているのと同じもので、先ほどその中央が破れて黒霧が溢れ出ているのを見たところです。
そして、中央に書き加えられた、星屑を頂くもみの木。
その後、何の事なのか大臣から説明を受けるのですが、周囲に金貨や宝石のイラストが散りばめられていて、莫大な宝がそこに眠っていることを話されているようです。
鼓動の高まる少年。
無数に集められる槍。
無数に集められる馬。
湧き上がる兵士たちを、少年は王座から魅入られるように眺めていました。
彼は、戦争によって先代の王を失った経緯があります。自分は絶対に負けないという確固たる意志のもと、たゆまぬ鍛錬を続けてきました。
そんな彼に訪れた、国を限りなく強くできる千載一遇のチャンス。先代の敵討ちすら現実味を帯びてきます。
もはや今の彼は、どんな手段をも厭わない状態なのかも知れません。
不意にもたらされた「まほろばの噂」によって、彼の受け継いだはずの「正義」は遠くに追いやられてしまったのでしょうか。
ところ変わって、黄の国。
同じ書き込みをされた地図を見る少女。
周囲では彼女に構わずそれぞれにはしゃぐ人々を、彼女は王座から冷たい表情で見下しているのでした。
私の考察では、黄の国では先代の王が身内のある一派に暗殺され、少女が傀儡として王位に着けられた設定になっていますが、バラバラに盛り上がる様子を見るに、互いに協力し合う気は無いようですし、何より王が飾りに過ぎない事実がこの時ハッキリと浮き彫りになってしまったようです。分かってはいてもそれなりに頑張って上手く付き合ってきたであろう彼女の気持ちは、表情通りであっても仕方のない事でしょう。
人々を狂乱させた「まほろばの噂」によって、彼女が受け継いだはずの「自尊」はまたしても大きく傷つけられてしまったようです。
さらに、青の国では。
同じ地図を見た少年が、フード付きのローブに着替えて王座に立ち、穀物を捧げる人々をうつろな目で眺めていました。
フード付きのローブは、どこまで一般的かは分かりませんが、巡礼者の服装として代表的なものであるかと思います。
そう仮定するとして、つまり彼は限りない豊かさを求めて青の国を出ようとしているのでしょう。貧しさゆえに先代の王に逃げられた彼にとって、豊かさは自分が見捨てられないことの象徴として映っていたのかも知れません。
その周囲で穀物を捧げている人々については、おそらく、引き留めようとしているのだと思います。理由は違えど先代と同じく国を見捨てて出て行こうとしている王を、必死で集めた追加の貢ぎ物で説得しようとしているように見えます。
「まほろばの噂」に魅了されてしまった彼は、受け継いだはずの「慈愛」を忘れてしまったのでしょうか。
そして、玉座の彼らのそばに、猫はいませんでした。
どこかで、それぞれ彼らを待っているのでしょうか。
最後に、繰り返し映し出される「天使の追放」のイラスト。「静謐なる揺籃」のものも混ざっていますが、曲名が示す通り、「悪魔の誕生」に「天使の追放」が関わっているのでしょう。
「天使の追放」については、作曲者であるonoken氏がTwitterで「エピソードゼロ」と言っていたので、こちらが歴史的には先の出来事だったという事でしょうか。(Twitterの引用はノスしるべの楽曲紹介ページをどうぞ!)。
天使が何者かはまだ分かりませんが、少なくとも天使が世界からいなくなったことで悪魔が誕生することになった、という流れにはなっているかと思います。
悪魔はサタンと言われる事もありますが、サタンの元々の意味は「誘惑する者」だと聞いたことがあります。
人の心の渇望を利用し、魅力ある餌をでっち上げ、社会をかき乱し、世界を滅びへと向かわせる存在です。
3人が生まれた地である世界の中心を、財宝の眠る場所などと流布して国々を乱した「まほろばの噂」の始まりは、この悪魔だったのではないでしょうか。悪魔と呼ばれてはいますが、それは今まで世界の中心に封じられていた、黒い霧の姿をした悪意そのものなのかも知れません。
それにしても間の悪いのは、噂が来たタイミングです。夢というものは記憶に残りにくいもので、まして目を覚ました直後に別の出来事が押し寄せれば一気に吹き飛んでしまいます。
誰かがあの夢を憶えていられれば、噂に対して疑問を抱くこともできたはずなのですが、それは叶わなかったようです。
夢に出てきた星屑が悪魔に対抗する存在だとすると、3人に対して必要な真実を伝えようとしていたのでしょうか。夢というおぼろげな空間でしか情報を伝えられない程に弱っていた中で頑張ったものの、ギリギリで悪魔が先手を取ったと考えると色々と口惜しい話です。
第4章の考察は以上となります。
お付き合い下さった皆さま、ありがとうございました。
しかし、ストーリーが今まで頑として進まなかったのは、KACで悪魔と天使を両方出させて、別の角度で関連性を表現したかったからなんでしょうか。
別に先にストーリーだけ進めてても良かったんじゃないかとは思うものの、そうすると天使がどんどん置き去りにされてしまう可能性もあるし、確かに待つしかなかったのかな…。
いずれにせよ、これでストーリーがスムーズに解禁されていくといいですね。
第5章も、目が離せません。