『ノスタルジア』の落書き帳

音楽ゲーム『ノスタルジア』に関して考えていることを、ちまちま書いていきます。一応Twitterもあります→@crt14display

『ノスタルジアOp.3』ストーリー第3章を見てきました。

※この記事は音楽ゲームノスタルジア』シリーズに関する感想や考察が記載されております。各種情報に関してましては、以下のサイトの閲覧をお勧めいたします。

【更新情報・システム内容】:BEMANI wiki 2nd

【プレーガイド・収録楽曲紹介】:ノスしるべ

 

※また、ここでは『ノスタルジアOp.3』のストーリー第3章「閑やかなる日々」に関するネタバレが普通に含まれておりますので、まだ見ていない部分がある方はご注意ください。

※なお、今までの記事との齟齬や矛盾が現れると思われますが、あくまで「記事が書かれた時点ではそう思っていた」と捉えていただければ幸いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ようやく!8か月ぶりに!『ノスタルジアOp.3』のストーリーが更新されました。何だかんだ言ってもやっぱりストーリーあっての『ノスタルジア』シリーズなので、嬉しさもひとしおというものです。

 

さて、今回公開された第3章のタイトルは、

「閑やかなる日々」

というものです。前回の記事でも書いておりますが、「閑やか」(のどやか)という言葉は落ち着きや穏やかな様子を示す言葉だそうです。

それぞれの国で唐突に新しい王となった3人は、不遇の日々と付き合いつつどのように歩んでいくのでしょうか。

 

では、それぞれの内容に触れつつ、考察を付け加えてみたいと思います。

 

 

 

【黄の国】

エピソード名:黄王の城

コメント:それはただ、白と黒をなぞるだけ

私の考察では、黄の国の女王の誕生の背景には、権力奪取を企んだ身内によって前王が暗殺され、まだ幼い彼女が伝承に従いつつも形だけの王として即位させられたという経緯があったものとしています。

 

即位した時には玉座で不機嫌な顔をしていた彼女ですが、今回のムービーでは大勢の人の前で高度なピアノ演奏を披露している場面から始まっています。その構図がどこか初代ストーリーでピアノを弾いていたノアの姿を思い起こさせるのは、私だけでしょうか。

演奏後、観衆から拍手喝采を受け、得意げな顔で応える幼き女王が描かれます。

ドヤ顔が可愛いです。

ドヤ顔が、可愛い、です。

どうやら不本意に不自由な王にさせられたと言っても、立場に応じた生活を受け入れてはいるようです。ついでに言えば、それができる彼女の感性や才能の高さも伝わってきます。

 

ですが、人前での姿は、人前だけでのこと。

 

ムービーではドヤ顔も束の間、観衆が去るとやれやれとした呆れ顔に変わりますが、これが本心ということでしょう。この後、自室に戻ってつまらなさそうにベッドに身を投げる場面に移ります。寝転がると同時にシーツに転がる王冠に目もくれない辺り、本当にどうにかならないのかと悩んでいる心情が伺えます。自分の意思を差しはさむ余地もなく、与えられた線の上を歩くしかない、まさに「白と黒をなぞるだけ」の日々です。

 

ぼんやりと天井を眺めていた彼女でしたが、ふと、壁に飾ってある一枚の絵に気付きます。それは、私たちもプレー開始時のエピソード選択画面で見ている、ストーリーの全体図。吸い込まれるように少女はそれに近づき、中央に大きく描かれた「NOSTALGIA」の文字をじっと見つめ続け、やがて、指先でそっとなぞり、何かを呟いた後、暗転。

最後にもう一度「NOSTALGIA」の文字が浮かんでムービーは終わりますが、それはどこか不穏な紫色を湛えていたのでした。

 

彼女がそこまでこの絵に惹きつけられた理由は、彼女がそこから来たからなのだろうと思われますが、おそらくまだ彼女が純粋に受け入れられていた時期に、この絵の意味と自らの出自について聞いたことがあり、今になって改めてその事実を重大なものとして理解したからなのでしょう。

不自由なく見える生活の中で、不自由しか感じられない彼女が一番求めているのは、自分が自分を生きているという実感、前章のコメントを借りれば「自尊」です。自分の考えで生き方を構築することでも自尊を満たすことは可能でしょうが、より確かに自尊を根付かせる方法として、自分の生き方はこれで良いという客観的な根拠を自分の手で見出す、というものもあるでしょう。

そのために、自身の出自、ルーツを解き明かすことは、一つの有効な手であると言えます。自分が本当は何者なのかが分かれば、心を満たす道もまた、自ずと見えてくるのではないでしょうか。

 

彼女もまた、そこにこそ自分の在るべき姿が秘められていると期待し、おそらくは世界の中心、そしてそこに描かれた「NOSTALGIA」に関心を注ぎ始めたのだと思います。

ただ、それがどのような影響を彼女と周囲にもたらすのか、についてはムービーの終わりで描かれたように、不穏な気配が漂っています。今の不自由な年月すら、「閑やかなる日々」として懐古されるような悲劇が待っているのかも知れません…。

 

 

 

【青の国】

エピソード名:古びた教会

コメント:永久の雪渓にて、思い耽る

こちらでは、前王に国ごと置き去りにされてしまったであろう少年の、それからの日々がムービーにて描かれています。

最初にピアノだけが置かれている空っぽの部屋が映し出され、そこに少年が青猫と入ってきます。前章でふたりが出会った場所です。この時、彼は一滴の涙をこぼすのですが、この後の展開で癒される様子を見るに、孤独の寂しさに耐えかねたのでしょう。

 

彼はピアノに向かうと、寂し気な表情のまま、その感情を吹き込むように演奏を始めます。

やがて心に浮かぶ、この国の空、草木、雪景色。演奏を終える頃には、癒されたような穏やかな笑顔に変わっていました。

取り残された自身の孤独と、人の寄り付かない厳しい寒さを持つ自然の孤独とが重なったのか、自身の寂しさを周りの自然が聞き入れて包み込んでくれたと感じたのか、いずれにせよ彼は旋律を通して、自身を取り巻く自然との何らかの共鳴を果たしたのでしょう。

 

そして少年は外へ出て、小さな雪だるまを嬉しそうに作ります。取り残された心の傷が残ろうとも、決して自分は一人ぼっちではないと気付かせてくれた大自然を、彼なりに擬人化したのかもしれません。

また、雪だるまの頭は猫の形をしていますので、王になった時から一緒にいてくれている青猫への感謝の気持ちも込められているのでしょう。

 

最後に、何かを思い続ける様子で透き通る夜空を青猫と共に見上げている場面を映して、ムービーは終わります。初めから自分を見守ってくれている自然から見出された、前章のコメントで言う「慈愛」を新たに見出したがゆえの希望が、その後ろ姿から感じられます。

 

ちなみにエピソード名が、第1章と同じ「古びた教会」になっているのですが、今までの流れでいくと「青王の城」なのではないかという声が出ているようです。確かに青猫が最初にいた教会にピアノがあるとは考えにくいので(オルガンなら分からなくはないですが)、おそらくその通りだと私も思います。しかし、これが不具合だとして、逆にどうやったらこんな間違い方をするのか、その流れがむしろ気になりますね(笑)。

 

 

【赤の国】

エピソード名:赤王の城

コメント:たゆまぬ鍛錬により、己を律する

強く成るために。

強く在るために。

弛みない歩みを。

 

ムービーから伝わるテーマは、そういうことではないかと思います。

前章にて王が戦死したがゆえに王権を引き継いだ少年にとって、勝つために、負けないために、自らをどこまでも強くするという目的を持つのは、ある種自然な心の成り行きでしょう。

旋律と共に同じ歩幅で歩く少年(と、その足元で気ままに歩く赤猫)が映し出された後、

きっちり顔を洗い、

きっちり噛んで食べ、

きっちり剣術訓練をする、

彼の熱心な生活の姿が描かれています。どれも赤猫がその様子を見守っているのですが、今までの振舞いからして、「おう、今日もやってんねぇ」ぐらいの軽さが感じられます。

 

その後、ピアノを弾いている場面に変わり、ある一節が何度やっても上手く弾けず、悔し涙を浮かべます。どれだけ熱意が高くても知識や体がついて来ないという苛立ちが人生においてよくあることを思うと、ピアノ演奏に限らず、彼を苛む彼自身の様々な不足を、この場面で表そうとしているのではないでしょうか。

そこに、赤猫が一鳴き。

それを聞いた少年は、感謝するように赤猫を笑顔で抱き締め、今度はつまづく事なく演奏を続けながらムービーは終わります。

 

彼は赤猫から何を受けて、何に気付いたのでしょうか。

おそらくそれは、強くならなければと思い詰めてしまい、周りどころか自分自身さえも見えなくなっている状態を、赤猫が指摘してくれたのでしょう。あえて言葉にするならば、「ちったあリラックスしろよ。熱いのは大事だが、自分まで焦がしちゃ意味ねーぜ」ってところでしょうか。

試行錯誤は必要ですが、その中でも冷静に原因と対策を見出して行かなければ、成長どころか崩壊の可能性すらあります。前章の自分の考察に続く話になりますが、またしても赤猫から「正義」について知ることができた、という終わり方になるのでしょう。

 

正義とは単純な力の強さではなく、さらにそれとどう付き合うか、どのように示し、使っていくかが問われる分野であると思います。その点で赤猫は、芯の所でそれを知っていると言えます。もしくは、思い詰めやすい少年と奔放な赤猫が交わり合って、ちょうどいい具合に正義が練られているのかもしれませんね。

 

 

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さて、3つのムービーをすべて解禁した後、新たに4つめの場所がマップの中央に出現します。第1章以来の出現です。

第1章では「未開の大地」として、そこに現れた3つの光が赤子の姿となり、それぞれの鳥によって運ばれて行った、という物語が描かれていました。

今回は何を私達に示すのでしょうか。

 

 エピソード名:???

コメント:深い静寂に包まれている

 ムービー自体は短いもので、マップの中央、「NOSTALGIA」の文字が拡大された後、周囲が暗闇となります。

ただ一つ残された「NOSTALGIA」に、3つの方角から伸びる、手。それらの指先が中央に近づいたその時、背景で複数のイメージが高速で入れ替わり、突如そして瞬時に全体が暗転し、最後に中央に「To Be Continued..」の表示。

 

これだけです。

ちなみに高速で入れ替わるイメージが一体何なのかというのは、私の動体視力ではほとんど捉えきれませんでした。

ただ、最後の瞬間だけピアノが中央に映ったのだけは見えました。The9thKACで映し出されたアレなのでしょうか…?

ともかく、抽象的で考察のしにくいムービーですが、コメントの「深い静寂」から、赤子となった3人が去った後の「未開の大地」の今後について示しているのではないかと考えています。

 

今はただ静寂の内にある、つまり安定した状態ではあるものの、今後3人の方からそこへ近づいて来るようになる。そしてそこで、ある”よくない”変化が起こる。

そしてそして。

それは既に定められた未来である。

 

このムービーは、そういった一種の予言なのかもしれません。

最後の瞬間のあのピアノのことを考えると、やはり近づいてはならない類の場所だとは思うのですが、そこには私たちが追い求めて止まない「NOSTALGIA」もあると言うのです。

 

一体何が隠されているのでしょうか?

私たちは、何を見ることになるのでしょうか?

 

 

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第3章「閑やかなる日々」の考察は以上となります。それぞれが見失っていた「自尊」「慈愛」「正義」と新たに出会うという、成長が今回の共通のテーマだったのではないでしょうか。約1名不穏ですが。

そう、今回、黄の国の少女だけが他に先んじてストーリーの核に触れたのが意外でした。3人揃っていた歩幅が急に崩れたように感じていて、ますますこの先が想像しにくくなっています。逆に言えば楽しみが増したのですが。

他の2人も結局は同じ絵と出会うのでしょうか。それとも少女がこのまま先陣を切って核心へ迫っていくのでしょうか。

 

毎回同じことを言ってる気もしますが、これからも目が離せません。