『ノスタルジア』の落書き帳

音楽ゲーム『ノスタルジア』に関して考えていることを、ちまちま書いていきます。一応Twitterもあります→@crt14display

『ノスタルジアOp.2』リサイタル考察

 9月になりました。『ノスタルジアOp.2』の稼働開始が2018年9月26日だったと思うので、いよいよ稼働一周年も数える程となってきました。前作のストーリー最終章の解禁が稼働一周年に合わせていたので、今作もそうなのかとドキドキせざると得ません。

 さて、その『ノスタルジアOp.2』には新しく追加されたプレーモードとして「リサイタル」というものがあります。専用曲や譜面があるわけではないのですが、通常プレー(こちらは「ベーシック」と呼ばれています)と比べて下記の違いがあります。

・強弱をつける指示が演奏中に追加される

・通常の得点だけでなく、5つの観点からの評価がつけられる

1.テンポ:ノーツを捉えることができたか

2.正確さ:1つのノーツに1つの鍵盤を押せたか

  ※ノーツの幅は2~5鍵分あり、1ノーツに3鍵以上使うと減点

3.テーマ:提示されたテーマに沿った選曲ができているか

  ※プレー開始時に選択した島などによってテーマが変化

4:優雅さ:指示された強弱に従えたか

5:ミスタッチ:ノーツの無い所を押さなかったか

 

 詳しい内容については、例によって情報サイト「Bemani wiki 2nd」の閲覧をお勧めいたします。また、最近見つけたのですが「ノスしるべ」にも彩り豊かに紹介されておりますのでお勧めです。

 リサイタルモードの目的は「リアルな演奏感」。これはノスタルジアそのもののコンセプトではありますが、それをより強調した形として存在しています。

 しかし、どうにもこのリサイタルをプレーしている人の数は少ないようです。せっかく開発されたのに(あと私はリサイタルが大好きなのに)勿体ないと思うわけです。

 ということで、リサイタルが選ばれない理由について考えてみましたら、2つほど出てきました。

 

1.高スコアや高ランクを狙う上で全く関係ない

 スコアやランクは音楽ゲームの攻略という側面では欠かせない要素の一つです。高難度譜面をランクSやP(=Pianistic。満点時の評価)でクリアする動画を見たりするとやはり驚きや感動があるわけで、自分でもスコアが更新されると心の中でほくそ笑んだりするわけです。

 その喜びを味わうのに、リサイタルは何も関係してきません。ノスタルジアの曲スコアは100万点が最大値なのですが、それが例えば150万点になるわけでもないし、新しいランクがもらえるわけでもありません。上記の5つの評価(満点は各10点)からなる50点満点の評価点は確かにありますが、どうしても曲スコアと連動するのであまり映えません。また、リサイタル用のグレード(腕前を公式に示す級位の基準点)もあるのですが、どうにも比較の難しい数値です。

  曲ごとに「リサイタルでのスコア」が記録されたり、「リサイタル専用ランク」なんてのがあったりしたら、プレーする人数が増えたかもしれませんね。

 

2.選曲と演奏の自由度が下がると感じる

  これはスコアのことと絡むのですが、リサイタルはベーシックよりも演奏時に意識すべきことがどっと増えるので、同じ譜面でも難易度が上がるという、高スコアを目指すにあたっては縛りでしかない存在になってしまっているのではないかと思います。のびのびと、思うように演奏したい時には特に足枷となってしまうでしょう。

 また、評価点を高くしようと思うと、テーマに従った選曲にも気を配ることになります。場合によっては、お気に入りの曲を選んだのにテーマの評価点が3点を切るという事も起きたりします。気にしなければそれまでなのですが、お気に入りがバッサリ一刀両断された気分にもなったりして、テンションが下がる可能性もあるわけです。

 人前(猫前?)での演奏という設定なので色々と求められるものが増えるのはリサイタルとして必要ではあるのですが、せめてテーマは評価点に含めるのではなくて、島に合う曲を選んだら獲得nos(ゲーム内通貨)にボーナスが入るとか、そういうのでも良かったんじゃないかと思います。

  

 今度は逆に、自分があえてリサイタルを選んでいる理由についてまとめてみました。

 

1.強弱をつけた演奏ができる

 リサイタルの最大の特徴はおそらくこれでしょう。演奏中、「弱く弾く部分」と「強く弾く部分」の指示が流れてくるわけですが、この存在により同じ曲でもその展開をより豊かに味わうことができるのです。

 また、この指示が流れている間は「強弱に対応した音量で鳴る」ようになっているので、弱く弾くべき所であえて強く弾くことも可能ですし、逆もまた然りです。その日の気分で、また個人的なこだわりで、曲の展開にアレンジを加えることができるのがリサイタルの楽しみの一つです。

 

2.演奏の手応えが増す

 先述した強弱を全く無視するとしても、リサイタルで求められる正確さを追い求めていくことで、「自分がどういう演奏をしているのか」という実感を深く味わうことができます。演奏の自由度の減少を逆に捉えていることになります。

 ノスタルジアはノーツが2~5鍵分の幅をしていると上述しましたが、雑な言い方をすれば「大体この辺り」という場所を何となくで叩いていても高スコアが取れたりします。誰にでもピアノを弾くことの楽しみを、というノスタルジア自体のコンセプトによるものですが、 この寛容さは一方で「自分が弾いているように音が鳴っている」実感を曖昧にしてしまうのではないでしょうか。

 それを言ってしまうと「ピアノ(本物)でやれ」と返って来そうな気もしますが、楽器単体では味わえない喜びを音楽ゲームは与えてくれるのです。例えばピアノだけで「Noar’s song」を弾けたとしても、やっぱりあの歌声が欲しくなるわけです。「猫のワルツ」を完璧に弾けたとしても、猫が鳴いてくれるのはノスタルジアだけなのです(Real譜面まだかな…)。

 そんな中で、同じ譜面でもより手応えのある演奏を求めるとき、リサイタルを通して正確さを養うことはとても豊かな糧になると思います。

 

3.脱NEARの助けになる

 ノスタルジアには「JUST」や「GOOD」などのタイミングに応じた判定だけでなく、ノーツの左右1鍵分外側を押した時に「NEAR」という判定が出ます(キー音は鳴るがスコアはなし)。

 特に高難度譜面になるとNEARを出してもその場で確認している暇がなく、リザルト画面で大量のNEARを見るたびに「どこでそんなにズレてたの?」と思わされたりするのですが、リサイタルではNEARはミスタッチ扱いにもなり、押した部分が赤く光るので、リアルタイムにNEARの瞬間を把握できるのです。基本的に高スコアの足枷になりがちはリサイタルですが、脱NEARはスコア更新に直結するのでこれは例外的に役立つのではないでしょうか。

 

  以上となりますが、こうしてまとめてみると、自分がリサイタルを選んでいる理由が、もはやノスタルジアをゲームとして見ていない、という一点に絞られてきます。

 スコアやランクはあくまでも二次的なものであり、お気に入りの曲をどれだけ実感を込めて演奏できるか、曲がもたらすイメージにどれだけ深く没入できるか、自分はそれを追い求めてリサイタルを選んでいる、ということになります。これが開発者の意図に沿っているかどうかは不透明ですが。

 

 お気に入りの曲を、単なる攻略対象に留まらずより愛情を込めて演奏したいと願うとき、リサイタルはあなたの想いに応えてくれることでしょう。